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国立大学の研究力、不確実性への公共投資 [教育改革]

国立大学の役割や存在意義は大学院を核とする研究力の強さにある。このことは「国立」という設置形態の問題ではなく、有能な研究者をより多く集積する大学院という「機能」の問題である。つまり国立大学の経済効果という課題を考えるうえで、「機能」は中長期的かつ安定的な蓄積により発揮される「人的資源」の形態の一つとして考えるべきである。

「機能」を人的資源の一形態として捉える意味で、国立大学の存在価値をより優れたものにするのが、前回ブログで論じた「ロングテールによる不確実性への公共投資」という考え方である。この点が今日、国立大学の制度改革に最も欠落している。国立大学の制度改革は2004年以後法人化を含めて実施されてきたが、研究という「機能」を人的資源の蓄積として捉えることによって国立大学の研究力を引き出すという考え方が必要であり、国立大学の財政支援の大きな柱とすべきである。研究という「機能」そのものに国立大学の競争力が組み込まれているからである。

新型コロナウィルス。その蔓延と猛威が象徴するグローバルな不確実性の問題解決は、誰が提示するのか。世界が注目している。その答は、少なくとも官僚機構など行政組織ではないことは事実である。大学に代表される研究機能を有する組織のはずである。それもロングテールの視座に立つ研究チームへの期待が寄せられる。研究という「機能」、つまり時間・労力を研究に費やす人々(人的資源)の合理的配置が不確実性の克服に最も資する。新型コロナウィルス危機はこのことを暗示している。不確実性への公共投資は豊かな先進国のいわば特権であり、日本はサイエンスにおける国際的主導力を高める体制を再認識、再構築すべきである。

さて、新型コロナのニュースを横目に、ここ1週間ほどアメリカ名門私立大学で教育データ経済学を専門とする私の友人とメールで情報交換。彼は、日本の国立大学の世界的リーダーシップの可能性は非常に高いという。ただしその最大の条件は国の財政支援、それも安定的なロングテールの考え方から国立大学を支援する仕組みの再構築にあると主張する。アメリカの2年制コミュニティカレッジ(州の財政支援で運営される公立短期大学)の政策に詳しいその友人に、日本の国立大学法人運営費交付金の削減の話をすると、コミュニティカレッジと「立ち位置」が類似しているという。ロングテールの考え方が希薄な上、つねに財政事情を理由にして予算削減対象の矢面に立たされるのがコミュニティカレッジなのだと話す。思わず閉口してしまう指摘である。


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文部科学省の「国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会」を考える [財政問題]

文部科学省は、国立大学の経営改革や財源多様化に関する検討会議「国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議」を2020年2月より開催し、3月19日に第2回の会議を終えた。この検討会議は政府の経済財政諮問会議の2019年「骨太の方針」に設置根拠を有し、内閣府の未来投資会議が主導力を発揮している。

国立大学の制度改革や政策形成の重心が文部科学省から近年は内閣府(官邸)にシフトするなか、国立大学の経営的自由度や財源確保の方策が議論されるという「政策力学」には注視すべきである。前回ブログで述べたように、高等教育の経済効果や個人的・財政的な便益はロングテールで捉えてはじめて、その生産性が本質的に評価される。単年度・単眼的な視野から官邸主導で政策立案を急ぎ、予算配分のメリハリと称して新たなルールを適用し、結果的に予算総額を圧縮する手法には「労多くして益少なし」の感をみる。

政府の未来投資会議が担う科学技術・イノベーションをめぐる議論は、まさにロングテール案件の典型である。投資とは、良い意味で「不確実性」の世界だからである。国のイノベーション投資とはまさに不確実性への公共投資であり、国立大学はその不確実性と日々闘いながら研究成果を生みだす拠点である、と再定義すべきである。「不確実性」への公共投資こそ、グローバルな競争力の源泉となり、イノベーションの主導権を握る可能性を大いに秘める。2000年以後グローバル化の進展の中で日本経済が低迷している最大の理由は、そうした主導権を完全に失っていること、つまり不確実性への重層的な公共投資を異様に嫌って国立大学への財政支援を削り落とし、投資効果に対して単眼単層になりすぎていることにある。

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文部科学省「国と国立大学法人の契約関係」(国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議(第2回)より)

検討会議の論点の一つ、国と国立大学との契約関係に関する議論は興味深い。仮に、上述した再定義からいえば、従来の大学経営ガバナンス論に立脚した議論では不十分である。むしろ迷走の感さえ抱く。結論からいえば、「イノベーションの不確実性への自立的挑戦」という普遍的なロングテールの中心概念を打ち立て、国と国立大学とが重層的あるいは多様に契約を交わす仕組みが必要である。不確実性への公共投資という再定義によって国立大学レベルでの「自立的挑戦」のあり方は重層的・多種多様になり、国立大学や研究者が意欲や使命に燃える環境を提供できる。なにや「挑戦」という言葉を用いると、無責任な「冒険」であるかのごとく誤解を生むかもしれない。その誤解を解くためにも、国立大学または個々の研究者には地域社会や納税者に対する高い説明力を備えることが前提となろう。文系・理系ともに社会に対する説明力という点で、国立大学は不十分であったかもしれない。

「不確実性への公共投資」という再定義から言えば、東大・京大・東北大等の「指定国立大学」7校に偏在した政策形成や資源配分には矛盾が生じる。不確実性への公共投資の対象とすべきは、基本的に全86校の国立大学は勿論、私学助成金が投じられている私立大学を含む高等教育システム全体である。不確実性のグローバル経済の時代に競争力を維持するには、多様性と重層性を備えた高等教育システムが有用である。有能な研究者は国立にも私立にも在籍している。その意味で国立、私立の設置形態は重要ではない。それは、ハーバード大学やスタンフォード大学など有力な研究大学のほとんどが私立であり、連邦政府から多額の研究費が投じられていることから容易に理解できる。ただし日本の場合、実質的には研究機能を蓄積した「大学院」を設置しているのは国立大学であり、したがって研究力が高いことは事実である。設置形態ではなく、究極的には大学院を研究機能の核としている点に国立大学の存在意義がある。

世界を震撼している新型コロナウィルス。その猛威の克服には「不確実性への公共投資」が急がれる。それはグローバルな競争であり国が国立大学を支援する理由である。ウィルス撲滅のワクチン研究には国の支援と大学の「自立的挑戦」という精神の両輪駆動が必要である。

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国立大学(高等教育)の経済効果をみる多様な視点 [教育改革]

2019年6月より2年間の契約で、一般社団法人・国立大学協会からの受託研究「国立大学の経済効果に関する調査研究」の研究代表者を拝命している。

アメリカの州立大学を主な比較対象として日本の国立大学の経済効果を分析することを主たる目的としている。今年は1年目として、日本の国立大学やアメリカの州立大学を訪問し、副学長・事務局幹部、そして研究者にヒアリング調査を実施している。

公教育支出のGDP比、科学技術イノベーション、博士育成・若手研究者の雇用、無償化、奨学金、リカレント教育。日本の高等教育を取り巻くこれらの諸課題はどれも、日本経済の政策運営や資源配分に直結するものばかりであり、また中長期的スパンを前提にして成果が蓄積され、経済社会に体現され、利益または便益を広くもたらすものである。

一方、グローバル化、少子高齢化、デフレ、財政危機といった構造的な問題を抱える中で、高等教育の財源とく国立大学運営費交付金は先細りし、個々の国立大学は毎年財源確保に戦々恐々としている。40歳未満の理系の若手研究者は「研究費ゼロ」という事例も稀ではない。化石燃料に乏しい国でも「人材」という無限の資源に国が総力を挙げて投資し、豊かで強靭、かつ柔軟な経済社会を目指そうとするいわば「日本らしい」戦後の政策運営は、もはや遠い昔である。「日本らしい」ハングリー精神は国立大学から消失してしまうのではないかという不安も感じる。

テコの原理のように、少ない投資で大きな利益を瞬時に生み出すのであれば「優」とし、ならば積極的に予算を削減することが財政上「美徳」であるかのような政策基質が横行している。戦後国立大学の果たしてきた研究・教育・社会貢献の実績を中長期的な視野から評価する姿勢は失われ、きわめて単眼的になっている。まさに「木を見て森を観ず」の感を否めない。

元来、高等教育は多様な顔をもつ。そしてロングテールの性格をもつ。この基本認識こそが重要であり、冒頭で列挙した高等教育を取り巻く諸課題を考える上での出発点である。教育面では、教育機会の拡大、人的資本の増強、所得と労働生産性の上昇、国や地方自治体の税収増大、大学関連サービス消費・生産等を生み出すことは経済学によって実証されている。研究面では科学技術・イノベーションの創出、特許の出願申請、ベンチャー企業・事業のスタートアップ、既存企業との産学連携や新しい応用研究、大学から企業等への技術移転、研究関連の地域経済へのインパクトがある。社会貢献も多岐にわたって実績がある。大学を中心とする「大学街」の雰囲気、まちづくりの生み出す社会的便益は単眼では蓄積できず、まして市場で売買しえない土着型の公共財である。

ニューヨーク大学のMicheal Hout教授は高等教育の経済インパクト実証研究の権威である。Hout(2012), ”Social and Economic Returns to College Education in the United States”は、高等教育の経済効果のポイントとして、所得の上昇や失業率の低下はもちろん、高等教育が家族構成(Children living with two adults)や幸福度および健康維持(Hapiness and Helath)に与えるインパクトを時系列や取得学位別に分析するものである。そして両者に強い相関性があることを明らかにしている。Hout教授の研究は高等教育が個人や社会にもたらす影響が多様であり、ロングテールであると論じている。

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ニューヨーク大学Micheal Hout教授の研究室。


カリフォルニア州はリーマンショック後、深刻な財政危機を経験したが、オバマ政権の連邦政府によるスペンディング政策の効果もあり、州レベルでの財政危機は予想以上のペースで回復をみせ、今日にいたっている。カリフォルニア大学は州の財政危機を受けて財源不足に陥り、授業料の引き上げを断行した(せざるを得なかった)。しかし、それだけでは終わっていない。最も尽力したことの一つは、大学理事会や研究者が中心となって自ら大学の経済効果をロングテールの観点で分析し、そのエビデンスをロビイストを通じて州議会に主張し続けたことである。連邦議会に対してもワシントンに本部を置く全米大学協会Association of American Universities)がロビー活動を強力に行い、大学の生命線である研究費の確保に奔走した。


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カリフォルニア大学バークレー校。全米TOPの研究大学でありながら地元の地域経済への貢献プログラムも豊富。


政府の運営費交付金(経常費補助金)に大きく依存している点では、カリフォルニア大学も我が国の国立大学も同様である。問題なのは、財政難に陥った時の、高等教育それ自体を捉える見識のあり方、終わりなきハングリー精神を体現する財政と政策基質である。この点に日米の差異を感じる。

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HONDA北米本社、工場視察へ

この夏、中西部オハイオ州の中央に位置するMarysvilleに所在するHONDA北米本社を訪問、工場を視察した。


州最大の都市クリーブランドから車で南へ2時間ほどドライブすると、広大なトウモロコシ地帯も広がるCity of Marysvilleに到着する。

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ハイウェイを降りて、目的地に近づくと、大通りの名称に「HONDA」の社名が使われていることに気がつく。その存在の大きさを感じる。

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そして、メインエントランス正面に到着。

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案内係の方がエントランスまで出迎えていただき、受付へ。そして会議室に案内していただきました。すでに机上には工場視察用ゴーグルや帽子が用意されていました。


副社長、工場長、生産管理責任者、総務担当者が同席される中、最初のご挨拶のあと、HONDAのアメリカ進出後の今日までの発展、全米各地の工場での生産体制や販売台数の動向等に関する説明を受け、その後、質疑応答の機会を頂きました。

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そして、いよいよ工場内部の視察へ。このMarysville工場は、HONDAの数多くある現地工場の中でも、アメリカ市場で販売実績の高い車種の一つ、「Accord」の生産拠点。その生産ラインをまじかに視察できるのは本当に貴重な体験であり、アメリカ市場でのHONDAの発展の「歴史」そのものを体感した。


最後に、正面エントランスで記念撮影。ご多忙のなか、ご対応いただきまして誠にありがとうございました。

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グローバルな技術力と生産体制をはじめ、競争の激しいアメリカ経済と向き合い、現地で雇用を生み出し、「カイゼン」を繰り返しながら成長する、その内に秘めるパワーはじつに大きいと感じた視察でした。


なお今回の内容は、後期の講義「日米の経済関係」で詳しく紹介、検討します。関心のある学生はぜひ受講してください。

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One Way(一方通行)の「道路文化」 [都市交通]

「道路」は、社会資本インフラというよりは、国の「文化」である。人や車の流れをどう把握し、何を優先し、どう変化に対応するか。道路建設の考え方や手法は先進諸国でも大きな違いが見られる。

 

では、日本の道路はどういう「文化」を有しているのか。日本は、ほぼすべての道路が「対面通行」になっている。幹線道路から、住宅街の細い路地にいたるまで、対面通行が基本原則であり、まさに「文化」である。朝夕の通勤ラッシュの混雑時も、対面通行の原則はいっさい揺らがず、そこでは交差点の「信号」という装置がきわめて重要な役割を担っていることに気がつく。さもなくば、日本全国で正面衝突が同時多発的に発生してしまう。信号に依存している(せざるをえない)のが日本の道路文化である。それも対面通行を基本原則としているからである。

 

しかし今後、日本は超高齢社会に突き進む。超高齢社会と向き合うなかで、対面通行という文化を部分的に見直す必要があるのではないだろうか。少なくとも超高齢社会に見合った道路とはどんな姿なのかを、日本は世界に先だって考えていく必要がある。正面衝突のリスクを常に抱え、また交差点では右折車と直進車の衝突のリスクをくぐり抜け、さらに歩行者や自転車とも交差点をシェアしている。道路利用者の全員が、つねに危険と背中合わせである。

 

今こそ、「対面通行」という日本の道路文化を思い切って見直し、「一方通行」(One Way)を部分的に導入すべきではないだろうか。近年の痛ましい交通事故のニュースをみていて、対面通行に内在するリスクを表徴している事例は少なくない。

 

ここで、具体的に「一方通行」のメリットを考えてみる。例えば、次のようなメリットが考えられる。

 

1点目は、正面衝突のリスク軽減、死亡リスクの軽減である。これは上述した通りである。2点目は、歩行者が道路を横断する際、一方の側だけ安全確認をすれば、容易に道路を横断でき、歩行者に安全を与える。現行の対面通行では、「右みて、左みて、また右みて」というように、何度も左右確認を行うことが「文化」になっている。3点目は、一方通行にすれば、もう一方の車線を路駐スペースとして確保できる。これによって高齢者等のピックアップ、ドロップオフの労力負担が軽減される。自宅やデイケア等のすぐ前に車をゆっくりと安全に駐車できるのは、ケアを受ける高齢者も、ケアを提供する側のスタッフも、嬉しいことである。4点目は、中心市街地のモービリティの活性化が期待できる。地方都市に散見される問題の一つに、中心市街地における「駐車場不足問題」があるが、一方通行を導入することで、路上駐車が一気に可能となり、シャッター街と化した商店街の再生が期待される。5点目は、自転車専用レーンを確保でき、これも商店街の活性化、特に学生を含む若年層や自動車を所有しない交通弱者の足と消費を刺激する。

 

もちろん、すべての道路を一方通行にする必要はない。道路幅、交通量、土地利用の状況で判断すべきである。日本の道路は元来一方通行を想定していないから、「無謀だ」という意見があるかもしれない。しかし問題は、日本が今後、未踏の超高齢社会に突入した際の道路のあり方をどうするかである。「従来はこうだったから」では済まされず、事故リスクを軽減する道路づくり、新しい「文化」を創ることである。


 

「一方通行」(One Way)という道路文化が最も浸透している先進国の一つがアメリカ。国土面積、土地利用のあり方、都市計画の手法いずれも、日本とは異なるが、しかし一方通行の運用で享受できるメリットそれ自体は日米でそう大きな相違はない。参考にすべき点は参考にすべきである。


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まずは「ONE WAY」の道路標識。ワシントンDCの閑静な住宅街Dupont Circleにて。アメリカでもっとも頻繁にみる標識の一つがこの「ONE WAY」。

 

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その「ONE WAY」がこの道路。左サイドは住民の路駐スペース。早い者勝ち。

 

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再び、幹線道路に戻る。じつはこの幹線道路も「ONE WAY」。今度は道路の両サイドが路駐スペースに。さらに「自転車専用レーン」も。

 

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平日、朝の通勤時の時間帯。数多くの自転車通勤者が気持ちよさそうに風を切る。自転車と自動車が、同じ方向に走るという安心感。そしてこの交差点には「信号」がない。「STOP」サイン下に「 ALL WAY」とある。4方向すべて一時停止し、順番に交差点に進入するルール。

 

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通勤ラッシュが落ち着いた午前10時過ぎ。今度は、物流トラックの出番。近くのスーパーSafewayに商品を搬入する様子。ONE WAYだからこそ可能な搬入作業。自動車の流れを阻害することなく、トラックを店舗すぐ脇に駐車し、搬入作業ができる。


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専修大学経済学部国際経済学科「公開講座」のご案内

専修大学経済学部国際経済学科では、毎年、一般市民を主対象にした「公開講座」を無料で開催しております。

今年のテーマは「米中二極時代の世界経済とその行方」です。5月11日より全6回にわたって開催中。1回のみの受講も可能です。お申込みは、以下よりお願い致します。

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アメリカ高等教育の財政問題とレベニュー債 [著書・論文]

このたび、拙稿「アメリカ高等教育財政とレベニュー債  ―イリノイ大学システムを事例に―」が、専修大学社会科学研究所の紀要『社会科学年報』第53号(2019年3月)に掲載されました。下記リンクより全文が公開(PDF)されております。ご笑覧ください。




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専修大学アメリカ経済「塙ゼミ」スタート [塙ゼミの研究活動]

2019年の春、専修大学 経済学部国際経済学科「アメリカ経済」塙ゼミ、2年目がスタートしました。4年生から2年生まで総勢20名、10号館・階段ホールにて記念撮影。

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塙ゼミは、アメリカ経済と、グローバル化が生みだす種々の内政課題の本質を鋭く、深く研究します。「世界」を知る有能な日本人の育成を目指します。

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コロラド大学のTodd Eley先生と研究報告会 [教育改革]

 先週、1週間ほどアメリカのオレゴン州とコロラド州に出張して、研究者との研究報告・意見交換等を行いました。初等中等教育や高等教育の財源確保が主なテーマで、色々と示唆的な議論を交わすことができました。

 コロラド州では、州都デンバー市のダウンタウン地区に所在するコロラド大学デンバー校公共事情学部(CU Denver, Dpt of Public Affairs)のTodd Ely准教授との研究報告、意見交換を行いました。

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 Ely先生とは、2014年の米国AEFP学会以来の知人で、年齢もほぼ同じ。アメリカの学校区における一般財源保証債(General Obligation Bonds)に関する実証的・制度的研究をされている若手気鋭の研究者です。

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 この日、彼との意見交換では学校区レベルの一般財源保証債にとどまらず、デンバー市内の都市再開発の持続的・自立的な財源確保を目的として積極的に活用されるレベニュー債、とりわけTIF債の動向に及び、民間資金や地方債市場からの資金調達等による都市再開発(PFI等)が勢いを増していることを確認しました。これは、一つには2008年金融危機後のアメリカの地方経済の堅調ぶりを裏づける動向として興味深く、また基本の地方財産税に加え、地方売上税も積極的に償還原資(担保)とするTIF債スキームが広がっていることを確認しました。

 私自身ここ数年、こうしたアメリカのTIF債スキームの活用事例を、初等中等教育は勿論のこと、高等教育との関係も視野に入れるかたちで捉えてきたので、とても刺激的な時間であり、日本の地方財政あるいは教育財源確保に大きな示唆を供するものと感じました。

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 今後もEly先生との協働研究を継続し、地方債や教育財源確保における日米比較を総合的に展開できたらと考えています。

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コロンビア大学Kevin Dougherty先生と意見交換 [教育改革]

この夏、米国コロンビア大学のKevin Dougherty先生と勉強会、意見交換をしました。

以前も、同じくコロンビア大学で初等中等教育統計データ分析を専門とするAlex Bowers先生を紹介しましたが、今回のDougherty先生は特に高等教育ガバナンス、政策決定プロセス、Merit PayやPerformance Funding等を含むや資源配分等を主な研究テーマとしています。

大学院教育学スクールに到着2階に上がって、約束の時間までいつもの廊下で休憩。

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約束の時間になったので、Dougherty先生の研究室へ。

今回の意見交換の主なテーマの一つがMerit Payをめぐるアメリカでの学術的なストリームと実証研究の基本的枠組みでした。先生の論文は事前にメールでいただいていたので、それを素材に議論をしました。

アメリカにも一般的な企業では、勤続年数、年齢等をベースとするSeniorityが存在します。大企業ほどしっかり制度化されています。また大学でも、勤続年数、年齢、学位などに基づくSeniorityが適用されますが、近年、大学では従来のSeniorityの基本スキームとは別に、教員個人の業績等に応じて追加的なボーナスのように配分される"Merit Pay”が一部で実施されています。ただし、そのあり方は大学によって大きく異なります。

Dougherty先生との議論の中心は、Merit Payに関するいくつかの典型例をベースにして類型化するための要素整理でしたが、私立か州立という設置形態はもちろん、Dean(スクール長)の権限範囲、President(学長)またはProvost(総括副学長)とDeanのパワーバランスなど、ガバナンスの現状があまりにも個々に多様化しているため類型化はそう容易ではないという意見が最後まで支配的でした。

最後に、Dougherty先生と一枚。

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専修大学 塙ゼミ(アメリカ経済社会と都市政策)の紹介 [塙ゼミの研究活動]

専修大学経済学部国際経済学科・塙ゼミは「アメリカ経済社会と都市政策」をテーマに、2018年4月より開設されました。

専修大学ホームページに、塙ゼミの紹介ページが公開されましたので以下、ご案内します。アメリカの経済や財政の制度・実証研究を中心として、貧困、格差、地方自治、教育、交通、福祉、都市再開発、地域コミュニティ形成等の政策課題やそれらの日米比較に関心をもつ学生をお待ちしてます。


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「バイク&ライド」政策と地域経済 [都市交通]

車社会と思われがちなアメリカ社会であるが、意外にそうではない。全米の主要都市で今、いわゆる「路面電車」の敷設・延伸工事がここ10年間に急速に進んでいる。先日、出張した中西部ウィスコンシン州の主要都市、ミルウォーキーでも路面電車の延伸工事がダウンタウンで進められている現場をみた。


アメリカでの路面電車の急速な整備拡大の背景には、都市政策の転換がある。なかでも注目すべきは「自転車」の積極的な活用である。自転車ごと路面電車に乗ることを想定した「バイク&ライド」政策は、アメリカでも拡大の一途をたどる。

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オレゴン州ポートランド市の路面電車、通称「MAX」は、よく知られた先進事例である。日本の研究者もしばしば研究対象としているが、最大の特徴はダウンタウン地区の一部をFarefree Zone(運賃無料区間)に設定している点にある。自家用車の都心部への乗入れを抑制するだけでなく、徒歩と自転車のモービリティを高めることも目的としている。

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特に、徒歩や自転車の行動範囲の拡大は多種多様な所得層の、多種多様な個人消費を拡大する。特に時間消費サービスを拡大し、町に活気を与える。多種多様な人々を都心に向かわせる仕組みづくりが地域経済を自立的かつ持続可能にするという基本認識が、そこにある。ポートランド市は1980年代から路面電車を中心とする都市政策を講じてきたが、「バイク&ライド」政策は今日中心的な役割を担っている。

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地域経済の自立的な成長や持続に資する都市政策が、アメリカ社会で優先される主要な理由は、州・地方財政の分権性にある。都市部に人々を引き寄せ、地域経済の中心機能を維持し、よって都市部の不動産価値を維持することが、地方政府が発行するレベニュー債(TIF債)の債務管理において最重要課題だからである。つまり、冒頭で述べた全米の主要都市で散見される路面電車の整備拡大の背景には、地方財政ファイナンスを活用した都市政策の展開がある。

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映画『デトロイト』 アメリカ最大のダブルパンチ [アメリカ経済社会]

映画「デトロイト ー衝撃の実話」が話題になっている。

この映画は、1960年代のデトロイト市での白人社会と黒人社会の衝突や暴動を軸にして、奴隷制の時代に遡る人種問題の根深さだけでなく、当時の司法権とくに合衆国憲法にもとづく連邦司法権の力がアメリカ社会の現実問題に立ち及ばない矛盾を浮き彫りにしている。

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デトロイト市のダウンタウン再開発地区の中枢「ルネッサンスセンター」ビル。世界最大の自動車メーカーGM(ゼネラル・モーター)の本社が構える。

連邦司法の無力さに加え、貧困・格差問題といった経済面での無力さは、デトロイト暴動の半世紀後の2008年の金融危機で露呈する。デトロイトは司法と経済の両面でダブルパンチをくらった、アメリカ最大の「敗北者」にさえ見える。「モーターシティ」の繁栄の歴史が嘘のようである。

デトロイト地域経済の衰退や貧困問題については、渋谷博史・樋口均・塙武郎編著『アメリカ経済とグローバル化』学文社(2013年)、第2章「自動車産業の衰退と大量失業問題 ーデトロイトの事例」で論じているが、映画への注目を背景に、改めて大都市デトロイトの抱える人種・貧困・格差問題がいかに構造的で根深く解決困難な矛盾を秘めているかを感じる。

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デトロイト市内の黒人貧困街に広がる廃墟。

無数の空き家の放置は既存周辺家屋の市場価額の連鎖的な下落を招く。そして地方財産税の減収と行政サービスの質的低下を引き起こしている。こうした黒人貧困街はデトロイト市全域、つまり都市部に集中している。逆に、通称「8マイル・ロード」より以北、つまり都市の郊外地区は豊かな白人社会が広がっている。これはよくアメリカ社会(特に大都市)にみられる居住地区の人種的分断いわゆるセグリゲーションの現実であり、デトロイトはその代表都市の一つなのである。

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地図中の赤線が白人社会と黒人社会の境界線「8マイル・ロード」。2002年の映画「8 mile」も必見。

デトロイトへは金融危機以前から研究調査で訪問し、ヒアリング調査等を行ってきた。市役所、学校区、NPO、大学、自動車部品メーカー等を訪問した中で一番感じることは、1960年代の司法面での敗北も大きいが、2008年以後の経済面での敗北がデトロイトにとって致命的のようである。金融危機の影響はデトロイト経済に甚大なダメージを与えており、その再生は容易ではない。自動車産業の急速な衰退消滅、人口減少、市の財政破綻、地域コミュニティの住環境悪化といった経済面の問題は、民主的な手続きや制度保障では解決しえない別次元の問題と考えるべきである。

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仮に人種問題における司法面での制度・政策が改善・担保されたとしても、その動きとはおよそ無縁に進展するグローバル化や貧困・格差問題があまりにも地球規模的だからである。一国の政府や自治体、司法のなす措置の範囲をはるかに越えている。

デトロイトが浴びたダブルパンチの敗北経験は、その意味でじつに貴重のように思える。
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ハーバード大学、Murnane先生と報告会 [アメリカ経済社会]

先週、ボストンに出張しました。


ニューヨーク経由でボストンに入り、ハーバード大学大学院教育学スクールのRichard Murnane教授(現在採択中の科研費の研究協力者を依頼)にお会いし、研究成果の一部を報告・意見交換等を行うのが主な目的でした。 Murnane先生のご専門は経済学とくに教育経済学、教育政策、所得と学歴の相関分析、政府による再分配効果分析等で、この分野の世界的権威です。


ハーバード大学に到着。今日はこの門から入りました。 P1180951.JPG


門の上部に、"Enter to Grow in Wisdom"の文字。世界最高峰のハーバード大学だから絵になる言葉、と言ったところでしょうか。

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Murnane先生とは、4年前、長年MIT教授を務めたFrank Levy先生からのご紹介でした。Levy先生については、以前本ブログで紹介しています。Murnane先生とLevy先生のお二人は長期にわたってアメリカ経済の構造的な貧困・格差問題の分析、教育を通じた社会移動の可能性と課題について研究され、共同執筆の著書や論文は多数あります。その読者の一人が私であり、多くの刺激を受けました。


今日の会議室です。

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会議の終わりに、Murnane先生と一枚。秘書の方に撮ってもらいました。

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帰り際、大学キャンパス中央部に位置する「ハーバード・ヤード」という広場に設置された大学創始者John Harvardの像のところへ。来るたびついつい写真を撮ってしまう、なんとも不思議なパワーをもつ像です。

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研究成果は今後の論文でまとめる予定。当該科研費も今年度が最終年度。今後も継続して分権システムのアメリカ教育財政の分析を進め、日本の初等中等および高等教育の財源確保に示唆を提供できればと思います。

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新潟県「小千谷プロジェクト」2年目の継続 [過疎化と地方再生・まちづくり]

昨年度より開始した新潟県の「大学生の力を活かした集落活性化事業」は2年目の継続申請が県に認められました。 今年度は法政大学水野ゼミに加えて新たに新潟大学松井ゼミ(都市計画・デザイン論)も加わり、3大学合同で開始しました。8月20日から2泊で現地に入りました。 ミッションは昨年度同様、小千谷市真人町の中心部に位置する「真人ふれあい交流会館」の再生・利活用アイデア提案。昨年の成果をもとに今年度の目玉は「住民寄贈・住民参加型メッセージ付き地域ライブラリー」なる地域の中心性を果たす空間造りの準備を進めています。 3大学の学生でじっくりミーティング。水野先生を中心にコンセプトやスケジュールを確認。地域に残る仕事とあって、学生はみな真剣勝負です。


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地元職人さんを講師に呼んでレクチャーを受けながら、あくまで学生が中心になって、地域の子供たちと一緒に「手作り本棚」を作成。 P1180356.JPG


「手作り本棚」が配置された地域ライブラリー空間が誕生した瞬間。2年越しの格別の思い。

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いよいよ、子供とお母さんたちを呼んでお披露目会と意見交換。 学生は熱心にお母さんたちにヒアリング調査を行い、どうやったらこのスペースを使ってもらえるか、8集落ある真人町に賑わいや世代間交流を生みだす空間になれるか。地元の真人小学校は廃校になったがその代替機能あるいはそれ以上の機能を果たせないか。などなど。 


最後に、学生、教員、地元自治会長と復興支援員と記念撮影。学生のチャレンジは続く。

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4大学チームが「学生目線の地方創生」シンポジウムでアイデア提言 [過疎化と地方再生・まちづくり]

去る7月21日、「第3回 人口減少時代のまちづくり ~学生目線の地方創生~」シンポジウムが大月短期大学「岩殿ホール」で開催されました。 学生200名、一般20名ほど参加者する中で、4大学チームが各々、大月市のまちづくりの将来を見据えながら課題整理とアイデア提案をセットでプレゼンしました。また大月市の副市長、まちづくり創生課長も登壇いただき総評・コメント等を頂きました。


東大、法政大、大月短大A、大月短大Bの順でプレゼン発表しました。

まず、東大から。

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次に、法政大。

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大月短大A。

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最後は大月短大B。

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以上を踏まえて、パネル討論へ。

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石井副市長による総評。

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最後に、私から閉会の言葉(総括)。

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まちづくりに「答え」は存在しません。唯一「答え」なるものをいえば、それは「具体的に考え、行動する」ことかと感じます。プレゼンを行う個々の学生の横顔をみながら、企画者・司会者として実感しました。


最後に、全員で記念撮影。お疲れ様でした。 P1160088.JPG

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シンポジウム「学生目線の地方創生」開催のご案内 [過疎化と地方再生・まちづくり]

今年で3回目となる、大月短期大学一般公開シンポジウム「第3回 人口減少時代のまちづくり」開催のご案内です。下記ポスターをご覧ください。      日時 2017年7月21日(金)16:15~18:00(開場15:45~)      場所 大月短期大学L号館2階、L200教室「岩殿ホール」 今年のテーマは「学生目線の地方創生」です。 大月市内外から3つの大学チームをパネラーに迎えて、学生目線から大月市の今後のまちづくりの方向性や具体アイデアを提案します。市当局にも出演いただき意見交換等も行います。

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一般の方もご参加できます(座席の関係上、概ね先着10名迄とします)。必ず事前に大月短期大学事務局教務学生担当(0554-22-5611)までお電話でお申込みください。

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東大ジョイントゼミ [過疎化と地方再生・まちづくり]

毎年恒例となった塙ゼミの「東大ジョイントゼミ」も今年で4年目を迎えました。 去る6月16日、東京大学法学部および経済学部4年の3名を塙ゼミに招いて、まず大月市内の現地視察を行い、その後大学で塙ゼミ生との勉強会。彼らは早いもので4年生になりますが、1年生の時に福島県柳津町での現地調査に参画してもらったとき以来の付き合いで、久しぶりに再会。 今回のテーマは2つ。 一つは東大生が担当しましたが、2年前から進めている奥会津・JR只見線沿線5町村の地域活性化のための基礎調査。もう一つは塙ゼミ生が担当したJR大月駅を中心とする再開発・活性化の基礎調査でした。 まずは塙ゼミ生の発表。大月市の街に「中心性と回遊性」を生み出すことを念頭に、JR大月駅周辺の再開発の基本的方向性・立地適正化の具体アイデア整理や、余暇を市内で過ごし学生と市民の世代間交流の拠点としての学生経営の「地域カフェ」開業に向けた基礎調査・可能性についてプレゼン。 P1150698.JPG 次に東大生による奥会津の活性化に向けた基本的考え方、アイデアの具体をプレゼン。 P1150704.JPG ゼミ終了後、大学エントランスで記念撮影。 P1150712.JPG その後、駅前に場所を移して皆で食事会をして終了。 P1150720.JPG このジョイントゼミの研究成果は、来る7月21日(金)大月短期大学「岩殿ホール」で開催されるシンポジウム「第3回人口減少時代のまちづくり ~学生目線の地方創生で大月市を再生」で発表されます。

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「サウス・ブロンクス地区」の親子 [アメリカ経済社会]

巨大都市ニューヨーク。ブルックリンブリッジ越しにみるマンハッタンのスカイラインは迫力があり、アメリカ社会の豊かさを象徴する。
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しかし、そのマンハッタンを南北に縦貫する大通り「パーク・アベニュー」(Park Ave)は豊かさの裏側の世界を浮き彫りにする。パークアベニューをずっと北上し、ハーレム川を渡るとマンハッタンからブロンクスに入る。そこは「サウス・ブロンクス」と呼ばれる地区である。
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サウス・ブロンクス地区は「ニューヨーク最大の貧困街」の異名をもつ。ニューヨークヤンキースの本拠地もあるが、そこは貧困地区であることはあまり知られていない。数十億円という目がくらむような年俸を稼ぐヤンキースの選手とは無縁の世界である。まさに豊かさと貧しさの同居するニューヨークとはいったい何なのか。サウスブロンクスの現場に立つと、政府の果たすべき役割や政策はどうあるべきかを考えさせられる。

この日、私が研究調査でヒアリングを行ったのは、サウスブロンクス地区、186丁目にあるニューヨーク市立 第132公立小学校(Garret Morgan)である。同小学校の生徒の学力は低く、また出席率も低い。
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ただ、ヒアリング調査を通じて示唆に富むのは、草の根の地方自治を盾に住民参加の学校運営や公民連携事業等を推進して課題解決に「前向き」である、ということ。学校・両親パートナーシップの担当ディレクターによれば、特に民間組織との連携事業を中心に生徒の学力や親の学校参加の向上を図っている。ディレクターいわく「その成果はすぐには出てこないことは私達もよく知っている。でもその努力がこのサウス・ブロンクスには必要なんです」と。
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ヒアリング調査が終わりマンハッタンの宿泊先ホテルに帰るバス車内、母子を見かけた。物静かで真面目そうな母とその息子。ジェニファー・ロペス主演の映画『メイド・イン・マンハッタン』のシーンとそっくり。
サウスブロンクスの教育はもしかすると「強靭」なのかもしれない。
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新潟県庁で「成果報告会」に臨む [過疎化と地方再生・まちづくり]

3月13日、新潟県庁において新潟県の「大学生の力を活かした集落活性化事業」の最終の成果報告会が、12の参加大学すべてが集まる中で開催されました。各大学20分のプレゼン発表とそれに対する質疑・コメント等を行うものでした。

塙ゼミは、学術交流のある法政大学の水野雅男教授ゼミとの合同チームを結成し、新潟県小千谷市にある「真人町」8集落の現地調査や活性化のための社会実験を実施しました。地域住民との深いつながりをゼロから構築することから始め、その意味で基礎調査に徹する形で根気よく進めてきました。7月から2月まで合計6回、泊まり込みで現地に入って調査等を行いました。

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そうした1年間の活動の成果発表とあって学生も力が入っていました。プレゼンは、水野ゼミの高橋君、塙ゼミの金丸君の2名が担当し、立派に報告してくれました。

プレゼン直前の緊張の様子。最後の打合わせ中。
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いよいよ「法政大学・大月短期大学」のプレゼン開始。
我々は、最後から2番目でした。
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プレゼン後、コメンテーター2名との質疑応答。
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最後に、我々の受入れ先である小千谷市真人町の協議会長、瀧澤氏よりコメント。
我々の活動を高く評価して頂き、ぜひ来年度も「継続」してほしいとの評価を頂きました。
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そしてすべての大学のプレゼンが終了。朝から夕方まで長丁場でしたが、学生にとっては他大学との質疑応答や意見交換を通じて、学内に閉じこもっていては絶対に得られない地域リアリティの中で刺激と緊張を体感したことに間違いありません。学術交流、他流試合とは本当にいいものです。

2名の学生は近日中に「成果報告書」を仕上げ、県に提出することになっています。ぜひ来年度も「継続」となってほしいものです。
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マイアミ・デイド学校区 [アメリカ経済社会]

この夏休みに科研費の研究の一環として、フロリダ州の大都市マイアミにある「マイアミ・デイド学校区」を訪問し、資料収集・現地視察・ヒアリング等を行いました。アメリカの地方自治の原型ともいわれる「学校区」の財政研究を始めてから15年ほど経過し、その間、ほぼ全米に及んで数多くの学校区を訪問してきましたが、フロリダ州は今回が初でした。

マイアミビーチ近くの幹線道路。アメリカ有数のリゾート地としてコンドミニアムが立ち並ぶ。
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マイアミ市のダウンタウンにある、マイアミ・デイド学校区のオフィス玄関。
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オフィスに入って「財政管理局」に着きました。この後、2名の方と30分ほどヒアリングを行いました。
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私の科研費のテーマは、学校区の発行する「一般財源保証債」(General Obligation Bond)の信用担保に関する研究です。マイアミ・デイド学校区は生徒数が全米第4という規模の巨大学校区であり、またヒスパニック系が生徒の大半を占めています。その意味で教育需要は本来高いにも関わらず、財政力が弱いために債券の発行が制約されているのが現状です。

それでも、なぜマイアミ・デイド学校区は一般財源保証債を発行可能にしているのか、その信用担保の獲得に何が大きく寄与しているのか。これが私の研究テーマの中心課題です。その答えは今後論文として整理するとして、ここでは視察した小学校の様子を紹介します。

さて、小学校の前に設置された学校改修事業を示す看板。
興味深いのは”General Obligation Bond”、つまり「一般財源保証債」という文字と資本投資額がしっかり示されている点。住民投票で過半数をえて行った借金によって、どの学校にどのくらいの資金を投入しているかが、この看板に示されています。
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こちらの小学校にも、やはり同様の看板が設置されてます。
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草の根の地方自治、地方財政の象徴ともいえるアメリカの学校区の財政システムは、透明性と規律と自立を基本としています。この看板はまさに地域の納税者に対して、その地方財政の基本が実践されていることを物語っています。
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「住友生命×浅田真央 YOUNG JAPAN ACTION」奨励賞を受賞しました [過疎化と地方再生・まちづくり]

この度、福島県の地域活性化事業である「奥会津・只見線沿線5町村活性化」プロジェクトが、平成28年度「住友生命×浅田真央 YOUNG JAPAN ACTION」の奨励賞を受賞しました。全国から多数の応募があったなかで、今回は大賞が2組、奨励賞が8組が選考されました。浅田真央さん、舞さん姉妹も選考に加わっていただいたみたいです。

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<会津大学短期大学・高橋延昌先生作成>

「住友生命×浅田真央YOUNG JAPAN ACTION」ウェブサイトへ。

会津大学短期大学部の高橋延昌先生を代表とする4大学(会津大学、拓殖大学、東京大学、大月短期大学)合同によるフィールド調査・地域活性化への政策提言プロジェクトとして昨年から実施してきた活動が評価されました。
いよいよ来年度が3年目の集大成の年となりますが、塙ゼミの学生には先輩に続いてぜひ頑張ってほしいです。
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奥会津合宿(4大学合同) [過疎化と地方再生・まちづくり]

塙ゼミは昨年に引き続き、福島県(奥会津振興センター)による奥会津・只見線沿線5町村の地域活性化事業(3カ年事業)に加わり、4大学合同で現地調査等を行いました。

今回も、会津短期大学の高橋昌延先生ゼミを中心に運営され、会津大学、拓殖大学、東京大学、大月短期大学の各大学からゼミ単位で現地調査に基づく現状や課題の整理を報告、アイデア提案を行いました。

大月短期大学・塙ゼミの学生(2年生)です。
新潟県、JR小出駅前で。ここから只見線に乗って只見駅まで北上。
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東大から3人が参加。
彼らはみな1年生の時に私の講義を受講した学生たち。今はもう4年生。
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只見線の車窓から。
現在不通となっている「只見ー会津川口」間の復旧に向けて。
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只見駅に到着。
ここから不通区間となるため、バスに乗って会津川口駅へ移動。
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翌日、会津大学を会場に各ゼミから基礎調査発表を行いました。
大月短期大学の塙ゼミは、ブナ資源を利活用した温泉旅館「1泊滞在」の効用最大化を売りとしたアクティビティ・モデルを提案しました。まだ基礎調査の段階ですが、「非日常」をどれだけ1泊で満喫できるかという視点から提案しました。周辺に自生する貴重なブナの葉を利用した肉類の燻製造りを親子で体験することをメインに、沼沢湖での釣り、そして旅館での温泉を組み合わせたものです。一見単純なコンテンツのようですが、その地域資源をどう生かすかは、我が国ではまだまだ研究が不十分です。

そして先日、大学に帰ってきて塙ゼミの中心メンバーでの反省会では、さらに追加のアイデアも出てきました。その一つが、旅館の「チェックアウト後の最大フォロー」というものです。何が旅館から提供されたら当該宿泊客はブナ燻製造りや釣りに参加しようと思うか、という問題意識で出てきました。この詳細は、12月の拓殖大学で開催される最終報告会で披露してもらう予定です。
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新潟県小千谷市真人町での集落調査(3泊の合宿) [過疎化と地方再生・まちづくり]

8月17日から3泊の日程で、法政大学の水野雅男先生ゼミと塙ゼミの共同による新潟県小千谷市真人町での集落調査を終えました。現地に入るのはこれで2回目とあって、真人町の方々との関係を徐々に構築しながらの、意義深い調査となりました。

3泊を通して学生の移動手段は自転車。現地で用意して頂きました。
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猛暑の中、学生は汗ダラダラで地形図を片手に一軒一軒個別に訪ねて、ヒアリング調査を重ねました。小高い丘の上にある集落にも汲まなく回るため、急な坂も自転車で上りました(下りは最高)。教員としては「研究も最後は体力。体力あっての研究」と激励し、学生が調査中にスーパーに買い出し、食事を作ってあげるほか何もできません。もちろんミーティングで助言等は行いますが。

それもそのはず。
この新潟県の集落活性化事業の名称が「大学生の力を生かした集落活性化事業」とあって、学生が自らの体と頭を使って主体的、能動的に集落を調査し、課題を分析し、政策提言を行うことに価値があるのです。学生同士、役割分担をし、地域の方々を招待してワークショップ(真人みらい会議)等を開催するなど精力的な活動には目を見張るものがあります。すべて学生のアイデアです。

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人口減少の著しい小千谷市真人町の子育て世代を中心とする若年層との意見交換、信頼関係をいっそう深めながら、彼らの集落コミュニティへの誇りや「生活値」は何であるのか、この先15年後「真人町」という集落をどういう生活空間にしていきたいのか、子供に残したいのかを具体的に知る必要があります。そのためにも、ゼミ生にはもっと汗をかいてもらいものです。
次回の現地調査は、10月1日から2泊の日程です。
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第2回人口減少時代のまちづくり講演会(報告) [過疎化と地方再生・まちづくり]

2016年7月22日(金)6限、大月短期大学C201教室を会場にして一般公開「第2回人口減少時代のまちづくり講演・パネル討論会」を開催しました。
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昨年に引き続き、学生は勿論のこと、一般市民の方々、市役所幹部職員ほか大勢の参加者で会場は満員御礼となりました。

第1部の基調講演では、水野雅男法政大学現代福祉学部教授が「街を動かす市民活動」という講演テーマで講演されました。水野先生は、金沢市等での自ら関わってきた老朽化した家屋の改修プロジェクトやその手法を詳しく説明されました。現場重視の先生の豊富な経験や見解を提示しながら、また動画も交えながらの説明には迫力と説得力がありました。

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続いて第2部はパネル討論会。ここから総務省自治行政局地域自立応援課係長の後藤勝氏にも加わって頂き、私の司会のもとで進めました。まず冒頭で後藤氏より、地域おこし協力隊の現況を踏まえ個別の注目すべき自治体でのまちづくりの事例をピックアップして頂き、特徴などを整理していただきました。
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そしてパネル討論へ。地域づくりの担い手や資質のあり方、その支援体制として重要なことは何か、という論点を掲げてパネリストから意見や補足等を頂きました。終始一貫、各パネリストから地域レベルで湧き上がる市民主体の発動や行動、外に開かれた組織づくりの重要性が指摘されました。

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最後にフロアとの意見交換・質疑応答。大月市の地域おこし協力隊の方、学生等から質問が出て、パネリストの方が丁寧に補足説明などを行ってくれました。
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塙ゼミの学生は会場受付や誘導、アナウンスなど手伝ってくれました。学生にとっても貴重な経験になったと思います。お疲れ様でした。

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塙ゼミ今年度の研究課題(3つの自治体での現地調査) [過疎化と地方再生・まちづくり]

今年度、塙ゼミは忙しい。

塙ゼミとジョイントゼミで交流のある法政大学現代福祉学部教授・水野雅男ゼミと共同の研究調査として、今年度は下記の3つの地方自治体から委託を受け、集落活性化のための現地調査や実践的な政策研究を進めています。

1.新潟県「大学生の力を生かした集落活性化事業」採択、小千谷市での現地調査
2.福島県「奥会津5町村地域活性化デザイン」による奥会津での現地調査
3.山梨県富士河口湖町「本栖湖みらいプロジェクト」(総務省「過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業」による現地調査等)

上記の3プロジェクトは全て、県または町が旅費等の経費を負担してくれる委託型の調査事業です。1と3は、法政大学水野ゼミとの共同調査、2は会津大学短期大学部の高橋延昌ゼミや拓殖大学との合同調査です。

1の「新潟県・小千谷プロジェクト」では、つい先日第1回目の現地調査(1泊)を実施したところです。学生は「人生初の」フィールドワークでしたが各々問題意識をもって積極的にヒアリング調査等を行いました。そして先週のゼミでは、1年生のゼミ見学者も参加する中で、現地調査の成果や課題を報告してもらい、皆で共有し、次回に向けて課題を整理するなどしました。さらに今後、3回にわたって小千谷に入って調査を進めます。


今回、宿泊先として提供していただいた小千谷市真人地区にある「空き家」。空き家といっても電気、水道、キッチン等の生活インフラは完備。
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さっそく市役所や町内会など地域の方々との顔あわせ、自己紹介、概況整理を行いました。
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今回、小千谷市(真人地区)側からの要望として、集落活性化の拠点として位置づけられている「真人ふれあい交流館」。中に入って視察すると、1階には立派な厨房とレストラン空間、2階には100名以上収容できる大広間もある施設。現在は月2回だけ農家レストランとして開館。
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その「真人ふれあい交流館」すぐ隣に立地する「真人温泉」。この地区最大の集客施設だったが、3年前に廃業。この廃業にともなって当交流館も閉鎖、現在にいたる。
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この施設を、そしてこの地域全体を、どう「再生」させるか。学生の「感性」でその答えを是非出してほしい。
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「第2回 人口減少時代のまちづくり」一般公開講演会のご案内 [過疎化と地方再生・まちづくり]

大月短期大学(塙ゼミ)では、昨年に続き「人口減少時代のまちづくり」一般公開講演・パネル討論会を開催します。本学学生のほか一般の方々も無料で参加できます。質疑応答の場も設けますので、是非ご参加ください。

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今年のテーマは「地域づくりの担い手と支援体制」です。基調講演者には金沢市など数多くの地域で市民主体のまちづくりの現場に詳しい法政大学現代福祉学部・水野雅男教授を、またパネル討論では総務省自治行政局・地域おこし協力隊理事官の中村俊介氏をお招きします。プロフィール等はポスターをご覧ください。

人口減少時代において衰退を余儀なくされる地方都市にあって、誰がまちづくりの担い手となるべきか、日本の様々な事例を交えながら、学生や一般の方々と一緒に考えます。
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水野ゼミ×塙ゼミ「大学生の力を活かした集落活性化事業」に採択 [過疎化と地方再生・まちづくり]

 この度、集落活性化を目的として年間延べ10日間以上の現地滞在と調査研究や政策提言を、大学の研究室(ゼミ)に委託するという新潟県の事業「平成28年度 大学生の力を活かした集落活性化事業」に採択されました。
 ジョイントゼミで交流のある法政大学現代福祉学部の水野雅男教授ゼミと合同で申請したものが今回、採択されました。私たち水野ゼミ×塙ゼミは早速、新潟県の内陸部に位置する小千谷市に入り、現地の方々と交流やヒアリングをしながら調査研究を始めます。なお今年度は新規8件、継続4件という採択結果だったようです。

新潟県「平成28年度 大学生の力を活かした集落活性化事業」採択大学一覧はこちらへ

 塙ゼミは、財政学や地域政策論をベースに地方経済や地域コミュニティ活性化、過疎問題を含む集落活性化を共通の研究テーマとしており、今回の採択は大変貴重な機会となります。フィールドで通用するタフな人材、現実感覚と行動力のある有能な人材の養成を一層目指したいと思います。
 早速、塙ゼミでは、リーダー学生を中心に2グループに分かれ、小千谷市について様々な角度から下調べを始めています。意欲満々です。学生の主体的な調査力、行動力に期待しています。
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ニューヨークの地下鉄、アッパーイーストの再開発 [都市交通]

巨大都市ニューヨークを、文字通りその地盤から支える地下鉄システム。その地下鉄の路線網の拡大は、まさに成長著しいニューヨークの今を映し出します。

現在進行中の地下鉄MTA「Q」線の延伸工事はその象徴です。Q線はニューヨークのクイーンズ区、マンハッタン区、ブルックリン区をつなぐ主要路線の一つで、ニューヨーク最大の観光スポット「タイムズ・スクエア」駅を擁します。通勤通学はもちろん世界のインバウンド観光客が利用するこのQ線は現在、「96st」駅まで延伸する大規模工事を進めています。
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ニューヨーク市でも都市再開発の著しい「アッパーイースト」地区はミドル層が多く、彼らの多くは自宅近くでまずバスに乗り地下鉄4、5、6線に乗り換えて通勤するのが一般的でしたが、このQ線の延伸工事が完了すれば、アッパーイーストからウェストサイド、ミッドタウン等への通勤が飛躍的に改善されます。

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この日、工事の進捗状況等を視察した際にお世話になった現場監督者の方です。
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大都市ニューヨークの成長と利便性追求を象徴するこの地下鉄Q線の延伸工事は、ニューヨークが抱える大きな内政課題も含んでいます。次回はその課題について書いてみます。

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第54回大月市生涯学習推進大会のお知らせ [過疎化と地方再生・まちづくり]

第54回大月市生涯学習推進大会が、下記のポスターの通り開催されますので是非ご参加ください。私は、シンポジウムのコーディネーターを担当させていただき、3名のパネラーとのディスカッション、フロア会場との意見交換等を行います。

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今年のテーマは「見つめよう!地域の力 ~粋な心で豊かな暮しを」です。地域の問題としてますます重要性をます福祉・介護の分野にスポットをあてて、行政や事業者、地域の活動団体の取り組みを通して、一人一人が自分と向き合い、自分に何ができるか、地域で何ができるかを考えます。
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