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宇都宮ライトライン [都市政策・モビリティ研究]

2023年8月26日、「宇都宮ライトレール」が開業した。路面電車としては実に「75年ぶり」の新規開業とのニュースを聞いて、驚きを隠せない。

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これは逆に言えば「75年間」もの間、路面電車が日本の都市交通から完全に軽視されてきたことを意味する。21世紀に入りほぼ四半世紀が経過する今日、世界の都市交通は急速に路面電車、バス、自転車(近年は電動スクーター)という低次交通モードを主役に位置づけた都市計画、都市再開発の方向へ大きくシフトしている。都市を改めて人間フレンドリーな居住空間に再編するムーブメントが確実に高まっている。

スペインのバルセロナ市は「スーパーブロック」と呼ばれる完全に車を排除した区域(ブロック)をダウンタウンにいくつも設置し都市空間の改良を講じており、自転車、バス、そして路面電車をその再編の主役を担う交通モードに位置づけている。

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また「クルマ社会」と言われるアメリカでもミルウォーキーなど人口50万前後の中規模都市では2010年以降、路面電車の整備、延伸を急速に進めている。デンバーは「バス専用レーン」をダウンタウンに設定して運賃無料でバスを運行し、都心部へのクルマの流入量を抑制している。世界の都市は急速に変化している。


そう考えると、「75年ぶり」という宇都宮ライトレール開業は、世界的トレンドからいかに日本が離れているかを考えさせられる。単に既存道路の中央レーンに路面電車を走らせるだけでは既存道路による輸送力増強に終わり、中長期的には社会的費用を増大させるリスクを生じる。今後の宇都宮ライトレールの都市計画・都市再開発とのダイナミックな政策リンケージが期待される。

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