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「住友生命×浅田真央 YOUNG JAPAN ACTION」奨励賞を受賞しました [過疎化と地域再生]

この度、福島県の地域活性化事業である「奥会津・只見線沿線5町村活性化」プロジェクトが、平成28年度「住友生命×浅田真央 YOUNG JAPAN ACTION」の奨励賞を受賞しました。全国から多数の応募があったなかで、今回は大賞が2組、奨励賞が8組が選考されました。浅田真央さん、舞さん姉妹も選考に加わっていただいたみたいです。

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<会津大学短期大学・高橋延昌先生作成>

「住友生命×浅田真央YOUNG JAPAN ACTION」ウェブサイトへ。

会津大学短期大学部の高橋延昌先生を代表とする4大学(会津大学、拓殖大学、東京大学、大月短期大学)合同によるフィールド調査・地域活性化への政策提言プロジェクトとして昨年から実施してきた活動が評価されました。
いよいよ来年度が3年目の集大成の年となりますが、塙ゼミの学生には先輩に続いてぜひ頑張ってほしいです。
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地方創生、経済産業省の「ローカルマネジメント法人」を考える(その2) [過疎化と地域再生]

 1月29日に書いたブログ「地方創生、経済産業省が「ローカルマネジメント法人」(仮称)を検討」のシリーズ続編です。

 その前回ブログでは、「株式会社に近いかたちで法人格を付与することは、有効な手段である。少なくとも公共性の名の下で市場メカニズムを排除することは、今後の地方経済の再生を考えると、衰退をみずから招くことにほぼ等しい。」と書きました。

 反復になりますが、そう書いた背景には、公共部門であれ民間部門であれ人々の暮らしを支える豊かな地方経済の持続発展には、市場経済的なネットワークへの「アクセス力」が必要不可欠であって、その「アクセス力」は今やグローバルな範囲に広がっているという基本認識があります。地方自治体や地域レベルでの豊かさや持続発展は、地球規模での資本や人材の市場経済ネットワークに自らアクセスし、調達するためのチャンネルや魅力をどれだけ豊富に提示できるかで決まると考えられます。航空行政の規制緩和「オープン・スカイ」ならぬ、「オープン・コミュニティ」という感じです。

 つまり、日本の人口減少や地方創生をめぐる諸問題は、今や「内政課題」ではなくグローバルな視野での「外政課題」として捉えるべき時代といえます。むしろそう考えたう上で、各自治体ごとにアイデアを集約実践することにより、人間社会の基盤としての地方経済や地域コミュニティを豊かにする可能性や政策を引きだせます。国も、そうした考え方に立って地方自治体の政策立案や実践体制を支援することが重要といえます。

 とすれば、前回ブログで取り上げた経済産業省による「ローカルマネジメント法人」の政策理念や枠組は、注目すべき第一歩です。もちろん一気に「外政課題」としてグローバルなステージで勝負するのは厳しいので、従来のように「内政課題」として捉え、国の支援をいい意味で原動力にして地方経済や地域コミュニティがより多くの選択肢を得られるようにすべきです。公共部門における法人格付与は、意欲のある自治体が、国からの財政支援を信用担保の一つに組み込む形での財政資金の調達を可能にし、自由度の高い公共サービス提供体制を構築できる可能性を秘めています。

 そこでアメリカの事例を考えます。
 アメリカでは、公共部門に対しては元来「小さな政府」という社会的制約があります。また州や地方政府レベルでは「均衡財政」を基本原則とし、さらに日本の地方交付税交付金のような国による財政調整制度が存在しません。したがって日本と違ってアメリカでは地方経済や地域コミュニティの持続発展は常に民間主導にならざるをえません。しかしそのアメリカ的な制約や財政ルールが、法人格付与による、市場経済メカニズムを活用した、規律と自立の地域政策を生み出す環境形成につながっています。

 その象徴が、州が、地方政府に付与する法人格です。
 アメリカの地方政府は法人格を付与されているincorporatedと、それが付与されていないunincorporatedに分類されますが、前者は地方政府としての強い独立性を有する法的根拠としての法人格付与であり、独立性を有する反面、いわゆる財政破綻のリスクを負います。最近ではデトロイト市が事例にあります。

 またアメリカでは、一般行政を担う市やカウンティだけでなく、州立大学や交通公社(anthority)にも法人格を付与し、目的税の課税権を委譲したり、資源配分や資金調達の自由度を与えるのが一般的です。州立大学であれば、自主財源にあたる授業料収入や学生寮使用料、さらに連邦研究開発費の間接費収入、そして州政府の補助金を信用担保にして、キャンパス校舎の増改築(資本改善事業)を行います。これは法人格を有する、公共性の強い州立大学という組織機関が持ちうる市場経済へのアクセス力を物語っています。

 そうした市場経済の恩恵を受けるのは、その州立大学で教育サービスを受ける学生であり、彼らを含む広く州内の納税者です。

(参照)
●加藤一誠・塙武郎(2014)「アメリカにおいて地方政府が交通に果たす役割 -特別区と学校区を中心に」一般財団法人・運輸調査局『運輸と経済』2014年7月号:特集「アメリカ合衆国の交通事情」。
●塙武郎(2012)『アメリカの教育財政』日本経済評論社。
●塙武郎(2010)「アメリカ大都市の交通財政 ―ニューヨーク・シカゴの事例研究」渋谷博史・塙武郎編著『アメリカ・モデルとグローバル化Ⅱ ―「小さな政府と民間活用』第5 章所収、2010 年、昭和堂。
●塙武郎(2004)「現代アメリカ高等教育財政の研究」(筑波大学・博士論文)。

「事前勉強会」を開催 柳津町まちづくり政策提言プロジェクト(第3回)に向けて [過疎化と地域再生]

先日、第3回となる柳津町でのまちづくり合宿(2015年3月30日、31日に開催予定)に向けて、渋谷で事前勉強会を行いました。当日どのようなテーマや内容でプレゼンを行うか、どこに意義があり、具体的な強みがあるかなどを議論しました。

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今回のリーダーを務める、東京大学文科二類の渋谷浩之君。

2013年夏から始まったこのまちづくり合宿も、じわじわと蓄積効果が現れてきました。学生の議論を一番後ろの席で聞いていると、開始した2年前に比べ、じつに柳津町での実体験をベースにしながら具体的かつ斬新な意見を戦わせているように感じました。

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3月30日の当日まで、もう一度、事前勉強会を開催し、いざ柳津町へ入ります!

八代市「緑の回廊線」を視察 [過疎化と地域再生]

先日、熊本県八代市による「緑の回廊線」事業を視察・ヒアリング調査を行いました。メンバーは前日と同様、慶応義塾大学の一ノ瀬友博先生、日本大学の加藤一誠先生、学会事務局の方です。

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「緑の回廊線」とは、廃線となった引込線跡地と農業用水路を活用した、総延長6,850mになる自転車歩行者専用道路のことです。JR八代駅を起点に多くの高校・中学校・小学校そして住宅地等を巡って環状を描き、ちょうど「回廊」のようなことから、この名称が付されました。整備して以来、通勤・通学のほか、健康増進を目的としたジョギング・ウォーキング・サイクリング等を行うための環状ルート空間として広く利用されています。

熊本県八代市「緑の回廊線」整備事業(八代市ウェブサイト)へのリンク。

本事業の開始は平成6年、すでに20年間が経過しているとあって、回廊空間はすっかり定着しています。とくに回廊ルート周辺には小学校、中学校、高校が多く設置されており、生徒の安全性の高い自転車通学路としての利用価値が高いように感じました。

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実際、市の担当職員のご説明を受けながら回廊を八代駅に向かって歩きましたが、用水路からの豊富な水を回廊のすぐ脇に流し、子供の水遊びの場を提供したり、要所に屋根つきのベンチを設置するなどの工夫がなされていました。自転車と歩行者との接触等の事故も無いに等しいとのことで、それも20年間の経過によって市民に浸透していることをうかがわせます。

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世界的にみても、例えばニューヨーク市のど真ん中、マンハッタン地区にある廃線の利用による憩い空間として知られる"High Line"(ハイライン)があります。

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「ハイライン」は、その名の通り高架線の再利用事業とあって、ビルの4階くらいの高さを歩きます。マンハッタンの街並みを無料で眺望できます。要所には、階段状にしたベンチを設置。この日は3月の寒い日でしたが、多くの市民や観光客が集まってます。

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ちなみに「ハイライン」は現在、さらに北に向かって拡張工事を行っています。

鹿児島市 電軌道敷緑化整備事業を視察 [過疎化と地域再生]

先日、鹿児島市による電軌道敷緑化整備事業の現場を、学会の研究調査の一環で視察してきました。慶應義塾大学の一ノ瀬友博教授をPJリーダーに、日本大学経済学部の加藤一誠教授、そして学会事務局の方とご一緒しました。

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訪問・ヒアリング先は鹿児島市建設局建設管理部公園緑化課。課長の池田格氏をはじめ4名の担当職員の方々との質疑応答のあと、市内の軌道敷緑化事業の現場をみました。実際に路面電車にも乗車しました。本事業は平成18年度から開始され、現在は鹿児島駅から郡元電停交差点までの区間、高見馬場交差点から涙橋電停までの道路併用軌道区間の約8.9kmが緑地化されています。

鹿児島市電軌道敷緑化整備事業(鹿児島市ウェブサイト)へリンク

ヒートアイランド現象の緩和と都市景観の向上を実現することを目的とする本事業は、近年我が国で注目されている路面電車の積極的活用による都市再開発(コンパクトシティ化等)の事例の一つとして位置づけられますが、とくにヒートアイランド現象の緩和効果はエビデンスで実証されており、また騒音の軽減効果も確認されているようです。

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鹿児島市の玄関口「鹿児島中央駅」(九州新幹線の最南端の駅)のすぐ前に広がるオープンスペースに出ると、その緑地化された路面電車軌道敷がすぐに目に飛び込んできます。今回視察した冬(2月)でもその緑のインパクトは大きく、夏にもう一度訪問してみたい気持ちにもなりました。

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しかし、都市交通トータルでの課題もあるように感じました。
それは、バス事業との関係です。市は路面電車を都市交通の基軸に据え、ヒートアイランド緩和とCO2削減を実現する一方で、大量の大型バスの運用によりその効果を相殺している部分を否定しえません。もう少しバスとの交通モード間調整・最適化をはかる必要があるかもしれません。市内を視察した際、市バスに加えて民間のバス事業者が多く存在しており、大型バスがあたかもパレードするかのように連続走行する光景が頻繁に見受けられます。時間帯や路線にもよるとは思いますが、路面電車のほうが乗車率が高いように感じました。

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とはいえ、路面電車の軌道敷緑化事業は、今後の都市交通における多面的な機能の可能性を示唆していると感銘を受け、たいへん意義深い出張になりました。

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地方創生、経済産業省が「ローカルマネジメント法人」(仮称)を検討 [過疎化と地域再生]

 地方経済の自立的・長期的成長は市場メカニズムの活用が重要なカギとなる。いよいよ始動した「地方創生」事業の推進にもこの基本認識は重要であると考えている。
 
 このほど経済産業省が明らかにした地方創生の政策提言の一つに「ローカルマネジメント法人」(仮称)の創設というものがあるが、これはたいへん興味深い。経済産業省経済産業政策局の有識者会議、日本の『稼ぐ力』創出研究会が提言したものであり、今後その詳細を検討していくこととしている。
 
 同有識者会議、第6回資料によれば、地域の特色を生かした産業活性化策として、サービス業とくに鉄道・バス等の公共交通、小売、保育、介護、宿泊、ガソリンスタンドといった生活密着型のサービスを総合的・効率的に提供する事業体としてローカルマネジメント法人を新設するとしている。

 ローカルマネジメント法人とは、従来のNPO法人と、株式会社の法人の双方のメリットを盛り込んだ事業体をイメージしたもので、市場メカニズムを生かした地域経済の再生を狙いとしたものである。従来のNPO法人は公共性の強い各事業を担う点で重要な役割を果たしてきたものの、財源が寄付金に限られていたため慢性的な資金不足に見舞われてきた。また利益の配当が制度上不可能であるため、事業拡大や発展に制約があった。つまり、公共性の強い事業分野ほど、市場メカニズムが機能してこなかった。

 そこで株式会社のように利益の配当を可能にし、市場メカニズムを生かした自立的な財源確保とガバナンス体制を有する新たな法人スキームを創設するのが、この提言である。

 もちろん法人格を付与して市場メカニズムを活用すればなんでも解決するとは思えない。しかし地方都市に行くほど小売を中心とするサービス業の労働生産性は低く、小規模・零細化、自営業化している現実は否定できない。こうしたサービス業の低い労働生産性をめぐる問題はわが国ではすでに指摘されてきたことであり、地方経済の衰退を象徴する事象と言わざるを得ない。駅前の「シャッター街」はその典型である。

 人口減少を加速させる最大の原因は20代から30代の若年人口の減少であるが、その若年層の特徴として、小売を中心とするサービス業を重要な「就業先」とし、また「消費先」としている点にある。これは大都市も地方都市も変わらない。したがってサービス業を魅力ある「就業先かつ消費先」とするためには、サービス業それ自体を活性化させることが有効である。すなわち、市場メカニズムを活用して、当該域内だけでなく域外からも運営資金を調達できる体制を構築することが重要である。域内外、つまりネットワークの外部性を生かすことが若年層に魅力あるサービス業の発展につながる。

 株式会社に近いかたちで法人格を付与することは、有効な手段である。少なくとも公共性の名の下で市場メカニズムを排除することは、今後の地方経済の再生を考えると、衰退をみずから招くことにほぼ等しい。「ローカルマネジメント法人」は地方創生という政策的文脈だけでなく、サービス業の新しい発展の姿を模索するうえでも試金石となる可能性は十分ある。今後の展開に期待したい。

 次回は、アメリカの公共交通を事例にして、法人格付与(charter)の意義について日米比較の視点から考えます。
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柳津町まちづくり政策提言プロジェクト(第2回合宿) [過疎化と地域再生]

9月11日、12日の2日間、昨年に引き続き、福島県柳津町をフィールドとしたまちづくり合宿を実施しました。東大生を中心とする17名の学生を引率し、柳津町地域振興課、総務課の職員の方々との意見交換、学生による現状分析や政策提言(プレゼン)を行いました。町役場の会議室で行った第1セッションでは、2名の学生がプレゼンを行い、議論を深めました。その後、柳津町議会を傍聴させていただき、地方議会の様子も拝見しました。

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第1セッションでプレゼンする東京大学法学部3年、阿部祐一朗君。

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同じく、東京大学2年の佐藤利彦君。

またその夜は、宿泊先の老舗旅館「滝のや」様を会場として第2セッションを開催。井関町長、星副町長、沼田まちづくりアドバイザー、金子振興課長など町の執行幹部のほか、道の駅「会津柳津」の杉原駅長やそのほか柳津町のまちづくりに深くかかわる方々がご出席されるなか、3名の学生がプレゼンを行いました。限られた情報と時間の中で学生達はよく整理し、斬新なアイデアを提示してくれました。

さらに翌朝、朝食をいただいたあと、旅館で第3セッション。部会ごとのプレゼンと意見交換を行いました。ここでも3名の柳津町の若手職員が参加され、情報交換を行うことができました。

いまや少子化はおろか、若年層を中心とする人口流出が地方都市の人口減少を引き起こしています。それは、一つの政策を打っただけでは解決しえない状況に深刻化、複雑化しています。大胆な発想と実効性を重視した複数の政策を長期と短期、さらに中期に分けてパッケージとして打たないと、問題は解決できない状況に入っています。

また過疎自治他の抱える諸問題の解決には、町つまり公共セクターの力だけではとうてい無理であって、民間セクターの活力を前提として、それを軸にして、公共セクターが持続的・段階的に支援を行うといった政策の「合わせ技」が必須になっています。それを具体的に策定し、官民一体で実行に移すのが、柳津町に限らず人口流出・過疎化に直面するすべての地方自治体の地方再生に求められている共通の課題といえます。

最後に、会津若松駅前で参加者全員で撮影、現地解散。
お疲れ様でした。
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柳津町まちづくり政策提言プロジェクト(第1回合宿) [過疎化と地域再生]

 2013年9月6日(金)および7日(土)の1泊2日で、「柳津町まちづくり政策提言プロジェクト 第1回合宿」を開催し、無事に終了しました。「福島民報」の記者が取材に来てくださり、記事に掲載されるのが楽しみです。
 この合宿は、東京大学と八洲学園大学での私の受講生を中心とする学生、計15名を引率して、人口減少や過疎化が進む中山間自治体の抱える政策課題やまちづくり事業について学び、政策提言を行うことを目的として、福島県柳津町との連携のもとで開催されたものです。また合宿では、井関庄一町長をはじめ、星正敏副町長、田崎為浩町議長、杉原啓輔「道の駅・会津柳津」駅長など柳津町まちづくりのリーダーも歓迎、参加してくださり、議論を交わすことができました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。

 まずは、井関町長、新井田課長と一緒に 「斎藤清美術館」前で撮影。宿泊先「滝のや」宿主・塩田氏もご一緒です。
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 さて合宿は主に3つのセッションで構成。「自治体経営・行政」「農業・環境」「観光・交通」の3部会に分かれ、各部会ごとに「第5次柳津町地域振興計画」等に基づきながら現状分析や問題提起そして政策提言などを行いました。

 まず「第1セッション」では新井田・地域振興課長から柳津町政・まちづくりの基調レクチャーを受けました。引き続き、学生代表リーダーの岡本紘明君(東京大学文科二類、2年)による農業政策に関する学生プレゼンがありました。その後、役場の隣にある「斎藤清美術館」(世界的に著名な版画家で、文化功労章を受章)へ移動。新井田課長に同行・解説いただきました。

「第1セッション」でプレゼンする岡本君。 「福島民報」記者も奥で撮影されてます。
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 次は「第2セッション」では、一般公開、インターネット配信を行う形で、2本の学生プレゼンを実施。森山剛志君(東京大学文科一類、2年)は農業振興としての外国人受入れと入管法問題を、佐藤利彦君(東京大学文科二類、1年)はJR只見線を活用した柳津町の観光戦略を、それぞれ発表しました。副町長、新井田課長と職員、田崎町議長、伊藤町議など多くの方がご参加いただき、会場は満員御礼でした。


「第2セッション」でプレゼンする森山君(上)、佐藤君(下)。
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 そして翌朝の「第3セッション」では、3部会ごとに学生プレゼンを実施。田崎議長も早朝から参加され、貴重な質問とコメントを受けることができました。学生は中山間自治体・柳津町が直面する現実の政策課題をめぐって政策担当者と向き合って議論することができ、大喜びでした。

「第3セッション」での学生同志によるディスカッションの様子。
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 参加したすべての学生が、「是非これを継続したい」、「豪雪を活かしたまちづくり事業を体現するためにも、冬にも合宿を行いたい」などと言ってくれました。もちろん、継続します。
 最後にJR会津若松駅前で、学生15名全員で記念撮影。このあと学生は「会津バス」に乗り込み、6時間かけて東京(新宿)へ帰りました。学生のみなさん、お疲れ様でした。そして柳津町職員のみなさん、宿泊先「花ホテル 滝のや」塩田さんにはお世話になりました。ありがとうございました。
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インターネット自治体 [過疎化と地域再生]

アメリカでは、どんなに田舎の町へ行ってもケーブルテレビが配備されていることが多く、それが「まちづくり」の一環になっており、インフラとしての役割を果たしています。

例えば、地方議会や教育委員会での審議の様子がリアルタイムで放映され、夜中もその録画が流されています。

情報通信は、軍需から民需へ移転されることで、その便益が最大化される典型分野の一つですが、インターネットはその代表例であることは良く知られています。

日本にも、アメリカ的な発想でまちづくりをする自治体が存在します。福島県西会津町です。

西会津町には3年前から視察させていただいており、先日も再訪問しました。町職員や町民の方々と情報交換することができました。

インフラというのは、租税資金の投入で設置は容易ですが、その活用となると、難題です。それがインフラの特質かもしれません。西会津町を久々に訪問して、そう思いました。

池田町のまちづくり その2 [過疎化と地域再生]

北海道池田町のシンボルである「ワイン城」。そしてその3階にある町営レストラン「十勝」。

ワインを飲みながら十勝牛を食べるという、1970年代以後日本における「食の欧米化」は、ガルブレイス教授のいう「豊かな社会」の本格的な到来を象徴する経済的な現象。その意味で池田町のまちづくりは、単に自治体の街づくりとしてだけでなく、そうした「食の欧米化」、「豊かな社会」への移行期にあった当時の日本社会を映し出す存在であったとも読める。

ワイン城(3階)レストランから池田町を望む。
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実は町営レストラン「十勝」は、東京都内に2つの姉妹店をもつ。一つは「レストラン十勝」(東京都中央区日本橋2-3-18)であり、もう一つが「グリル十勝」(東京都中央区新川2-28-4)である。自治体が都内に宣伝目的で設置する「アンテナショップ」は、まちづくり事業の成功モデルの一つとして高く評価されたが、池田町のワインはまさに典型例であったと、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所所長は熱弁されていた。

高度経済成長期はヒト、モノ、カネが東京に一極集中するなかで、都内にアンテナショップを展開し、田舎生活の物珍しさを刺激して利益を上げることができた。より多くの人々の関心を寄せるには、都内での出店が効率よく、都合が良かった。高度経済成長期は、その経済的余力を使って、都市から農村への利益分配という日本的構造が形成された時代であった。

しかし90年代後半から経済のグローバル化の進展により、そうした日本的な利益分配の構造が急速に崩れてきている。東京にアンテナショップを出店しても、利益が上がらないという経済構造が現出している。都市、非都市を問わず、グローバリゼーションという経済的圧力が日本の経済構造、消費性向を確実に変容しはじめている。

それでも尚、池田町は農業(ワイン)や酪農(十勝牛)の分野で挑戦し続けている。次なる「秘策」が池田にはあると、職員は語っていた。さすが、池田町職員はアイデア豊富と感心した。さすが、氷点下の厳しい環境でも育つブドウの品種改良を実現した自治体だけある。

ワイン城の隣にある超耐寒型品種の展示場の様子。
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北海道にある小さな農村自治体、池田町。確かに財政状況も厳しい。しかし少なくとも職員の農業に対するアイデアや意欲は世界的に通用することが証明されている。追いついていないのは、そうした自治体職員の高い専門的な能力を財政的に支援する仕組みではないだろうか。
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