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鹿児島市 電軌道敷緑化整備事業を視察 [過疎化と地域再生]

先日、鹿児島市による電軌道敷緑化整備事業の現場を、学会の研究調査の一環で視察してきました。慶應義塾大学の一ノ瀬友博教授をPJリーダーに、日本大学経済学部の加藤一誠教授、そして学会事務局の方とご一緒しました。

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訪問・ヒアリング先は鹿児島市建設局建設管理部公園緑化課。課長の池田格氏をはじめ4名の担当職員の方々との質疑応答のあと、市内の軌道敷緑化事業の現場をみました。実際に路面電車にも乗車しました。本事業は平成18年度から開始され、現在は鹿児島駅から郡元電停交差点までの区間、高見馬場交差点から涙橋電停までの道路併用軌道区間の約8.9kmが緑地化されています。

鹿児島市電軌道敷緑化整備事業(鹿児島市ウェブサイト)へリンク

ヒートアイランド現象の緩和と都市景観の向上を実現することを目的とする本事業は、近年我が国で注目されている路面電車の積極的活用による都市再開発(コンパクトシティ化等)の事例の一つとして位置づけられますが、とくにヒートアイランド現象の緩和効果はエビデンスで実証されており、また騒音の軽減効果も確認されているようです。

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鹿児島市の玄関口「鹿児島中央駅」(九州新幹線の最南端の駅)のすぐ前に広がるオープンスペースに出ると、その緑地化された路面電車軌道敷がすぐに目に飛び込んできます。今回視察した冬(2月)でもその緑のインパクトは大きく、夏にもう一度訪問してみたい気持ちにもなりました。

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しかし、都市交通トータルでの課題もあるように感じました。
それは、バス事業との関係です。市は路面電車を都市交通の基軸に据え、ヒートアイランド緩和とCO2削減を実現する一方で、大量の大型バスの運用によりその効果を相殺している部分を否定しえません。もう少しバスとの交通モード間調整・最適化をはかる必要があるかもしれません。市内を視察した際、市バスに加えて民間のバス事業者が多く存在しており、大型バスがあたかもパレードするかのように連続走行する光景が頻繁に見受けられます。時間帯や路線にもよるとは思いますが、路面電車のほうが乗車率が高いように感じました。

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とはいえ、路面電車の軌道敷緑化事業は、今後の都市交通における多面的な機能の可能性を示唆していると感銘を受け、たいへん意義深い出張になりました。

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