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北海道池田町のまちづくり [過疎化と地域再生]

北海道出張。行き先は、先進的な農村自治体、池田町。ワインのまち、池田町である。
とかち・帯広空港からバスで池田町へは30分。12月上旬となって一面が雪景色。

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北海道池田町は1975年以来、自治体職員が原料となるブドウの栽培からワインの醸造、さらにその流通・販売を手がけてきた、画期的な自治体。地方公営企業会計で収益が管理されており、その事業会計の名も、「ブドウ・ブドウ酒事業会計」である。NHKの人気番組「プロジェクトX」でも放映されたので、知っている人もいるかもしれない。自身、小学生のとき、父親と見学したことがあり、それ以来の訪問であった。

十勝ワイン「トカップ」の商品名で知られる池田町のワインは、広く日本全国のスーパーで販売されている。ここ10年、国産ワインは輸入ワインに押され苦戦を強いられているが、池田町のワインは、農村による自主的な「まちづくり」としての意義は勿論のこと、そうした輸入ワインの日本市場への参入、つまり酒類産業におけるグローバリゼーションという経済的圧力に立ち向かう自治体経営としての意義もあり、注目してきた。

まずは池田ワインの醸造施設(熟成施設)、通称「ワイン城」へ。
「ワイン城」は正式には、この通り「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」という。
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この「ワイン城」3階には町営レストラン「とかち」があり、平日でも客で賑わう。これも、「レストラン事業会計」という事業会計で管理されている。
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ランチを注文。生ハム、野菜など地元酪農から食材が供給されている。まさに「地産地消」。午後から職員の方との接見があったため、さすがに自慢のワインは飲めない。
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「ブドウ・ブドウ酒事業会計」は毎年度、約10億円の収益を計上しているが、ここ数年、収益は減少している。マクロ統計で見ても、国産ワインと輸入ワインの売上額の比重は、2:8と、輸入ワインが優勢。

しかし、池田町の事業会計努力は、農業の復権と市場との緊張関係をもつ自治体経営という意味で注目すべきであり、日本の地方分権の推進のためにも重要である。ワイン事業会計の収益の一部は、一般会計(正確には「普通会計」というが)に繰り入れできるだけに、疲弊する北海道の地方財政の状況を考えれば、何としても盛り返す手立てを打ちたいところである。

市議会の日米比較 [過疎化と地域再生]

学会や研究でアメリカに行くときは、必ず市議会を傍聴する。いわば「趣味」の一つ。

 シカゴやニューヨークなど大都市となると、市長や議員の権力は絶大で、高給であり、社会的地位も高い。しかし、人口10万人以下の中・小規模の市の場合、市長や議員は無給である場合が多い。市長や議員は昼間、地元の不動産会社の社長や電力会社のCEOとして働いている。つまり市長や議員は「職種化」していない。市議会は通常、18:00から開かれている。

 アメリカの市議会の最大の特徴は、City Managerと呼ばれる、市長のブレイン役を務める市政運営の専門家が市長や議員への意思決定に重要な政策提言を行い、それが民意の反映に役立たせている点である。このことは、確かに住民の代表である市長や議員に意思決定の権限が与えられているが、その権限を行使する上では、客観的な政策判断が必要とされていることを意味している。City Managerは通常、市議会の職員としてフルタイムで雇われている。

 実は、横浜市議会(正確には「横浜市会」)へ行ってきた。政治そのものに関心があるのではなく、冒頭で述べた「趣味」の一環として。

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小樽合宿へ 運河と倉庫 [過疎化と地域再生]

先月末、研究会で小樽商科大学へ出張。

 かつて小樽は、日銀の支店があったほど北海道における金融の中心都市であった。特に物流の基地としての小樽の地域経済の繁栄の跡は、今もなお、市内に点在する「倉庫」に刻み込まれていた。

 小樽商科大学での研究会を終え、市内を歩く。すると、たくさんの倉庫が、まさに「町並み保存」の主役を担っていた。古い建造物を残そうという現代のまちづくりの発想は、おそらく、「歴史」という目に見えざる人々の営みを、机上や紙上ではなく、生活空間のマチ全体で再現してみたいという「好奇心」から来るものなのだろう。。。

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 町並み保存と言えば、愛媛県内子町が有名であるが、それとはおよそ異なるこの小樽の「町並み保存」の立役者「倉庫」は、どこか北国の生活経済、つまり食料備蓄という重要な機能を担う存在として、あたかもその雄姿を誇示するかのように見えた。

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 研究会に参加された他大学の先生方とコーヒーを楽しむ。もちろん、このジャズ喫茶店(2階層)もかつて倉庫だった。何を備蓄していたんだろうか。
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京都出張に行く。 京都駅とシカゴ駅 [過疎化と地域再生]

5月26日(金)、授業を終えてから、その足で夜行バスに乗り込み、京都(研究会)へ出張。翌朝6:30到着。疲労。。。

京都駅はモダンな建築様式で、開放感のある内部構造、それを見渡せるカフェ、劇場の客席と化した階段など、アイデア建築の実践空間。長い歴史を有する京都の町並みや寺院とは対照的に、駅がモダンであることは、さぞ外国人観光客、とりわけアメリカ人観光客にとって印象深いかもしれません。

それというのも、アメリカの大都市にあるAmtrak(連邦政府が運営する長距離旅客輸送機関。日本のJR的な存在。)の駅(Union Station)はクラシックな建築様式である場合が多いのですが、そのアメリカよりもはるかに長い歴史をもつ京都の駅が超モダンであるのですから。でも、あの京都駅、超モダンな姿が様になっているのは、むしろ長い歴史をもつ京都だから、なのでしょうか。帰りの夜行バス、一人でそんなことを考えていました。

最後に、京都駅とシカゴ駅の画像です。何ら比較の意図はありませんが、貼ってみました。お楽しみください。
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京都駅

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シカゴ駅(Chicago Union Station)


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