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コロンビア大学での大規模学生デモ(その3) [コロンビア大学の研究報告]

4月18日の本日、昨日に続いてコロンビア大学構内で大規模な学生デモが行われています。この度のイスラエルによるパレスチナ攻撃に対する抗議デモです。コロンビア大学では無許可でデモ活動を行ったなどの理由で100人以上の学生が逮捕され、Minouche Shafik学長は当該学生の停学処分を発表しました。パレスチナ解放問題だけでなく停学処分への抗議もデモの増幅要因になっているようです。

私はこの日、授業に参加するため午後2時に大学に到着しました。すでにNYPDの警戒態勢が敷かれており、ほとんどの大学の門が閉鎖されるなか、比較的小さい門から大学のIDカードを提示して入ることができました。

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報道カメラも多く来ており、騒然としております。

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授業終了後も学生デモは続いていました。アダムズNY市長は昨日の会見で、「学生には言論の自由がある。しかし平和的にデモを行ってほしい(デモ活動の事前手続を踏んでから実行してほしい)。」と述べていました。

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パレスチナをめぐるイスラエルの軍事行動、それに直接間接に関与するアメリカ(バイデン政権)、反ユダヤ主義の動向に対する有力大学(学長等)の言動や対応などがアメリカでは連日ニュースで報道されています。超大国アメリカが抱えるリアルな国際政治の反響が大学キャンパスで繰り広げられています。

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2024年4月 研究者紹介ページ公開(その2) [コロンビア大学の研究報告]

コロンビア大学の研究者紹介ページが公開されました。「分権型・市場型アメリカ教育財政の実証研究」をニューヨーク州、イリノイ州、テキサス州、ミシガン州等の事例分析を中心に共同研究者(Faculty Host)のAlex Bowers教授と進めます。

研究者紹介ページはこちらへ。

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コロンビア大学Bowers教授とは過去10年以上の付き合いで、アメリカ初等中等教育(義務教育含む)を運営する地方自治体である「学校区」(School District)が発行する地方債「一般財源保証債」(General Obligation Bond)の住民投票に関する学会セッションで知り合い今日に至ります。彼はミシガン州やテキサス州の事例分析の蓄積があり、私が蓄積してきたイリノイ州の事例分析との比較検討からスタートし、償還財源の確実性や信用力、そして住民投票の結果が学校資本投資や学力に与える影響等を共同で分析します。

Alex Bowers教授ページはこちらへ。

半導体や自動車産業等の製造業の新たな集積や人口増加による経済成長が著しいアメリカ南部諸州、特にテキサス州における地方財政にどのような特徴がみられるのか。なかでも人材育成の基礎を担う初等中等教育から研究開発を担う高等教育に至るまで総合的にその財政を捉え分析することは、アメリカ財政、アメリカ経済の実証研究としてたいへん意義深いです。超大国アメリカの力強いリアルな経済力と地方財政を足元から分析し、少しでも日本に示唆を供することができたら幸いです。

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2024年4月 コロンビア大学での研究生活スタート(その1) [コロンビア大学の研究報告]

2024年4月より米国コロンビア大学でサバティカルが始まりました。1年間の滞米生活です。先月3/26に米国に入国、その2日後から早速ワシントンDC、フィラデルフィア等での出張をこなし、4月2日以降、NYでの生活が始まりました。

研究会や資料整理など何度も通ったコロンビア大学ですがこの日は特別な感がありました。正門を入って左手に見える旧図書館棟も感慨深いものを感じました。

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さて4/9の本日はコロンビア大学「初出校日」。この数日前コロンビア大学の先生のご紹介により午前9:30よりコロンビア大学SIPAが主催するシンポジウム「The State of Child Care in New York City」に参加させていただきました。

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本シンポジウムはゲストに元大物政治家ヒラリー・クリントン氏を招いてパネリスト達がNY市の子育て政策の現状と課題についてディスカッションを行うものでした。

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クリントン氏の基調講演を踏まえ、主催大学の研究者やNY市議などが意見を述べ、そして最後にクリントン氏が全体総括を述べるという流れでした。

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パネルディスカッションの終盤では、地方財政つまりNY市の教育費が巨大都市のゆえに様々な成約の中で管理されている点、アメリカの子育て政策への支出水準が国際的にみて低いままである点が指摘され、高度分権社会アメリカにおける地方財政の役割の重要性、与えるインパクトの大きさを実感しました。一人のパネリストは、NY市の子育て政策が後進していると指摘した上で、日本の事例を紹介。日本では子育て支援体制が自治体と小学校との連携によりきめ細かく運営されており一定の評価や成果を得ていると言及し、フロア参加者から拍手も湧きました。アメリカから見ると日本の子育て政策が成果を出しているように見えるようですが、残念ながら日本では少子化が進行し続けている現実はなんとも皮肉で、政策評価や国際比較は容易なものではないと感じた「初出校日」でした。

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