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池田町のまちづくり その2 [過疎化と地域再生]

北海道池田町のシンボルである「ワイン城」。そしてその3階にある町営レストラン「十勝」。

ワインを飲みながら十勝牛を食べるという、1970年代以後日本における「食の欧米化」は、ガルブレイス教授のいう「豊かな社会」の本格的な到来を象徴する経済的な現象。その意味で池田町のまちづくりは、単に自治体の街づくりとしてだけでなく、そうした「食の欧米化」、「豊かな社会」への移行期にあった当時の日本社会を映し出す存在であったとも読める。

ワイン城(3階)レストランから池田町を望む。
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実は町営レストラン「十勝」は、東京都内に2つの姉妹店をもつ。一つは「レストラン十勝」(東京都中央区日本橋2-3-18)であり、もう一つが「グリル十勝」(東京都中央区新川2-28-4)である。自治体が都内に宣伝目的で設置する「アンテナショップ」は、まちづくり事業の成功モデルの一つとして高く評価されたが、池田町のワインはまさに典型例であったと、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所所長は熱弁されていた。

高度経済成長期はヒト、モノ、カネが東京に一極集中するなかで、都内にアンテナショップを展開し、田舎生活の物珍しさを刺激して利益を上げることができた。より多くの人々の関心を寄せるには、都内での出店が効率よく、都合が良かった。高度経済成長期は、その経済的余力を使って、都市から農村への利益分配という日本的構造が形成された時代であった。

しかし90年代後半から経済のグローバル化の進展により、そうした日本的な利益分配の構造が急速に崩れてきている。東京にアンテナショップを出店しても、利益が上がらないという経済構造が現出している。都市、非都市を問わず、グローバリゼーションという経済的圧力が日本の経済構造、消費性向を確実に変容しはじめている。

それでも尚、池田町は農業(ワイン)や酪農(十勝牛)の分野で挑戦し続けている。次なる「秘策」が池田にはあると、職員は語っていた。さすが、池田町職員はアイデア豊富と感心した。さすが、氷点下の厳しい環境でも育つブドウの品種改良を実現した自治体だけある。

ワイン城の隣にある超耐寒型品種の展示場の様子。
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北海道にある小さな農村自治体、池田町。確かに財政状況も厳しい。しかし少なくとも職員の農業に対するアイデアや意欲は世界的に通用することが証明されている。追いついていないのは、そうした自治体職員の高い専門的な能力を財政的に支援する仕組みではないだろうか。
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