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「サウス・ブロンクス地区」の親子 [アメリカ経済社会]

巨大都市ニューヨーク。ブルックリンブリッジ越しにみるマンハッタンのスカイラインは迫力があり、アメリカ社会の豊かさを象徴する。
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しかし、そのマンハッタンを南北に縦貫する大通り「パーク・アベニュー」(Park Ave)は豊かさの裏側の世界を浮き彫りにする。パークアベニューをずっと北上し、ハーレム川を渡るとマンハッタンからブロンクスに入る。そこは「サウス・ブロンクス」と呼ばれる地区である。
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サウス・ブロンクス地区は「ニューヨーク最大の貧困街」の異名をもつ。ニューヨークヤンキースの本拠地もあるが、そこは貧困地区であることはあまり知られていない。数十億円という目がくらむような年俸を稼ぐヤンキースの選手とは無縁の世界である。まさに豊かさと貧しさの同居するニューヨークとはいったい何なのか。サウスブロンクスの現場に立つと、政府の果たすべき役割や政策はどうあるべきかを考えさせられる。

この日、私が研究調査でヒアリングを行ったのは、サウスブロンクス地区、186丁目にあるニューヨーク市立 第132公立小学校(Garret Morgan)である。同小学校の生徒の学力は低く、また出席率も低い。
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ただ、ヒアリング調査を通じて示唆に富むのは、草の根の地方自治を盾に住民参加の学校運営や公民連携事業等を推進して課題解決に「前向き」である、ということ。学校・両親パートナーシップの担当ディレクターによれば、特に民間組織との連携事業を中心に生徒の学力や親の学校参加の向上を図っている。ディレクターいわく「その成果はすぐには出てこないことは私達もよく知っている。でもその努力がこのサウス・ブロンクスには必要なんです」と。
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ヒアリング調査が終わりマンハッタンの宿泊先ホテルに帰るバス車内、母子を見かけた。物静かで真面目そうな母とその息子。ジェニファー・ロペス主演の映画『メイド・イン・マンハッタン』のシーンとそっくり。
サウスブロンクスの教育はもしかすると「強靭」なのかもしれない。
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